ニセコ町で酪農を営む木嶋さん。
木嶋さんは3代目の経営者で、牧場経営を継ぐ前は札幌でパテシエとしての経験もありました。
現在は多くの教育旅行を受け入れながら、約120頭の牛を飼育し牧場経営を営む木嶋さんにお話を伺いました。

Q.なぜパテシエを辞めて牧場経営を継ごうと思ったのですか?
3人兄弟がいて、下の弟が牧場を継がずに就職がしたいとのことだったので、自分が牧場を継ぐことに決めました。
Q.現在の酪農経営で大変なことはどんなことですか?
これはうちに限らずどのこの牧場も同じかと思いますが、エサや肥料などの資材高騰は経営を圧迫しています。
経済状態の問題もありますが、あとは健康状態を含めた体力ですね。年々体力が落ちていくのでどうしていこうかなというのが問題になっていきます。


Q.今後、酪農経営を持続させていくにはどのようなことが必要で、どのような工夫をされていますか?
現状で労働力解消のために機械化をどんどん進めて、肉体的な疲労はだいぶ解消されてきているけれども、将来的には後継者をどうしようかという問題があります。
一番理想的なのは新規就農者を受け入れて、今やっている経営をふたつに分けて、新規就農者とそれぞれの牧場としてやっていきながら、自分が完全にリタイアする時にさらに新しい新規就農者を入れるような形が取れれば良いなと思っています。
今のところ募集しているわけでも探しているわけでもありませんが、そう時間をあけずに探す必要はあるかと思っています。
そのため、実現するためには今の経営の頭数を減らし、2本ある牛舎の1本を新規就農者に割り当てたときに、やっていける頭数はどれくらいなのかなど色々と模索しているところです。

Q.体験を通じて、生徒さんに伝えたいことや感じてほしいことはありますか?
酪農という仕事を知って欲しいというのが根本にあります。
当然そこに、牛乳などの乳製品をたくさん買ってもらうために知ってもらうというのもあるけれど、産業に対する理解を深めることで、将来酪農や畜産業に関係するような職業についてもらえたら尚良いと思います。
また、将来生徒さんたちがどこかに住むときに近くに酪農や畜産の牧場があったときに理解して接してもらえるようにしたいんです。
そう思う背景に、本州などの都市部にある牧場は、牛の糞尿が集められる堆肥場の匂いを一切外に出さないようにするため、膨大な設備投資が必要であるという現実があります。
なぜかというと、元々あった牧場にだんだん町が迫ってきて牧場が町に飲み込まれ、やがて牧場が「臭い」とか「汚い」という理由で住民訴訟を起こされ、実際に牧場が負けて立ち退きを余儀なくされるという事例があるからです。
そういう事例を目の当たりにして、元々住んでいたのに負けて出ていかなければいけないのはおかしいのじゃないかな?と感じます。
そのため、お互いに理解を持って接し合えるような形を作るため、きちんと酪農に対する理解を深めてもらうのが一番の目的です。
Q. 体験をやっていて良かったと思うことはありますか?
一般の人と交流することで、刺激をもらえることはもちろんですが、体験をした学校から、ここでの体験が楽しくて、酪農系の高校や大学へ進学した生徒さんがいるという話を聞いた時はとても嬉しいと思う反面、とても責任も感じています。
また、体験をした生徒さんが就職した後にふらっと立ち寄ってくれて、ここでの体験がきっかけで北海道の学校に進学して就職したという話を聞くと、とても嬉しく思います。

Q. これから体験に来る生徒さんに向けて伝えたいことはありますか?
自分の子どもに対してもそうですが、視野を広げるということはとても大切なことだと思っています。
将来畜産関係の仕事に就くことがあれば素晴らしいですが、ほとんどの人が全く関係ない仕事に就く中で、酪農のような仕事があるんだということを学ぶことはとても良いことだと思います。
視野を広げる学びの場として来てもらえたら良いなと思います。

人にも牛にも愛情を持って接している木嶋さん、羊蹄山の麓に広がる牧場で、ニセコの大地と自然の恵みを感じ、酪農家の仕事や生活を是非肌で感じててください。
